IVDX・AI導入の最初の一歩

DXの進め方が分からない現場責任者の不安の正体

公開日:2026年8月31日最終更新日:2026年8月31日サイバーコネクト編集部

「DXを進めてほしい」と経営層から言われたものの、何から手をつければいいのか分からない。そう感じている現場責任者は少なくありません。ツールを調べても種類が多すぎて選べず、社内に相談できる人もおらず、気づけば「進めているふり」だけが続いている。そんな状態に、焦りや後ろめたさを感じている方もいるはずです。

この状態は、能力や努力の問題ではなく、そもそも「DXを進める」という指示自体が抽象的すぎるために起きる、構造的な行き詰まりだと考えると整理しやすくなります。指示が具体的な作業に分解されていないまま現場に渡されると、誰でも同じように立ち止まってしまうものです。

この記事では、DXの進め方が分からなくなる理由を構造から確認し、最初にやるべき小さな一歩と、社内で完結しない場合の考え方を紹介します。

なぜ「進め方が分からない」状態になるのか

「DXを進める」という言葉は、実は目的でも作業指示でもありません。目的の手前にある方針表明のようなものです。経営層が「DXやAIを使え」と口にするとき、その裏には「業務を効率化したい」「競合に遅れたくない」といった漠然とした期待があります。ですが、その期待は具体的な業務・具体的な作業・具体的なツールにはまだ落とし込まれていません。

この「落とし込み」の作業を、誰がやるのかが決まらないまま現場に指示だけが下りてくると、現場責任者は「進めろと言われたが、進める中身がない」という状態に置かれます。指示と作業の間にある大きな空白を、現場が一人で埋めようとしてしまうのが、この行き詰まりの正体です。

さらに厄介なのは、この空白を埋める作業には、業務知識(どこに無駄があるか)と技術知識(どんなツールで解決できるか)の両方が必要になる点です。現場責任者は業務知識は持っていても、技術知識までは持ち合わせていないことが多く、一人で完結させようとするほど手が止まりやすくなります。ここは、丸投げされた側が自分を責める前に知っておきたい構造です。

最初の一歩は「困りごとの棚卸し」から

進め方が分からないときほど、いきなりツール選びから入りたくなりますが、順番を変えるだけで景色が変わることがあります。最初にやるべきは、ツール比較ではなく「現場の困りごとの棚卸し」です。

  1. 困っている作業を書き出す:毎日・毎週の業務の中で、時間がかかっている・ミスが起きやすい・属人化している作業を箇条書きにする
  2. 困りごとを分類する:入力作業の手間、確認作業の重複、情報共有の遅れなど、似た性質のものをまとめる
  3. 影響の大きさを見積もる:どの困りごとが最も時間・コストに影響しているかを、感覚でよいので順位づけする
  4. 経営層と共有する:棚卸しした内容を「これがDXで解決したい対象です」という形で言語化し、認識をすり合わせる

この棚卸しをせずにツール選定に進むと、機能の多さや価格の安さだけで選んでしまい、結局現場の困りごとが解決されないまま終わることがあります。ツール選定の前に基準を言語化する重要性については、DXツール選定を丸投げされた現場責任者のノートでも整理しているので、あわせて確認しておくと選定時に迷いにくくなります。

つまずきやすいポイントと、社内で判断がつかない場合の考え方

棚卸しまで終えたところで、次に多くの現場責任者がつまずくのが「これをどう実現すればいいのか分からない」という段階です。社内にDX人材がいない場合、困りごとを整理しても、その先をどう具体化すればいいのかという技術的な判断は自社だけでは難しいことがあります。

ここで一つ、実務上意識しておきたいのは、困りごとの棚卸しは「要件定義の前段階」にあたるという点です。困りごとを解決するために何を作る・何を導入するかを具体化していく作業は、そのまま見積もりや契約の話につながっていきます。要件定義がなぜ見積もり前に必要なのかについては、要件定義とは何か。見積もり前に必要な理由で詳しく扱っているので、社内での整理を進める際の予習として目を通しておくと、後の話が噛み合いやすくなります。

困りごとの整理経営層と共有実現方法の検討
困りごとの棚卸しから具体化までの流れ

棚卸しと共有まで進めても、それを具体的にどう実現するかという判断が社内だけではつかない場合もあります。そうしたときは、無理に一人で抱え込まず、外部の視点を借りるという考え方もあります。

まとめ

  • DXの進め方が分からなくなるのは、能力不足ではなく「指示が抽象的なまま現場に渡される」構造的な理由による
  • ツール選定より先に、現場の困りごとを棚卸しして経営層と共有することが最初の一歩になる
  • 困りごとの棚卸しは要件定義の前段階にあたり、具体化を進めるほど社内だけでは判断がつかない場面も出てくるため、早めに言語化しておくと後の整理がしやすくなる

執筆

サイバーコネクト編集部

誇張や決めつけを避け、現場で実際に判断材料になる情報だけをお伝えします。

監修

木村 真之

株式会社サイバーコネクト 代表取締役社長

2021年11月に同社を設立。

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